名前でよんで…
雨がふる。
「姫、そのままでは風邪をひかれます。」
レオニスと二人で国を出て、もう何日たっただろう。
恋人になれたと喜んでいたのに。…それなのに。
「レオニス。…どーして、いつまでたっても、敬語が抜けないんですのっ！？」
「そう言われましても…。」
困った顔をするレオニス。でも、絶対、ゆずれませんわ。
「何度も言っているでしょう？わたくしのことは、ディアーナ、と呼んで、と。
それに、その丁寧な口調もやめて。…わたくしたち、恋人になったのでしょう？」
「ええ、そうです。」
…またも、丁寧な口調。
恋人だってことを、きっぱりと認めてくれたのは嬉しいのだけれど。
「それよりも、本当に風邪をひきます。こちらへ。」
そう言ってレオニスは、木陰を示しているけれど。
こうなったら、座り込みならぬ、立ち込み？ですわ。
「レオニスが、その口調を止めるまで、わたくし、ここを動きませんわ！」
「姫…。」
ちらり、と見ると、かなり困っている顔のレオニスが見えた。
でもでも、まだ、引きませんわよ！
つん、と顔を背けて、立ちつくす。
…うしろで、レオニスのため息が聞こえた。
「…頼むから、心配させないでください。」
声が、優しい。
そして、頭から、ふわっと、レオニスの青いコートが掛かって。
横に、レオニスがいた。
「ディアーナ。」
はじめて呼ばれた、名前。
レオニスの口から漏れた、わたくしの、名前。
「長年身に付いてきた言葉遣いだから…急には変えられませ、いや、変えられないが…
努力、しよう。それで許してもらえないか？」
まだまだ、堅苦しいですけど…まぁ、努力すると言っているし…
これ以上、困らせたくないし…
「わかりました。許すわ。…そのかわり、今度姫、と呼んだら、返事はしませんわよ？」
「…わかった。」
ふふ、ちょっと、困ってるみたい。
お詫びのしるしに。
「ねぇ、レオニス。…あなたにディアーナ、って呼んでもらえて、とっても嬉しいわ。
大好きよ、レオニス。」
ちょっと驚いた顔をしたあと、レオニスの顔が、優しくなる。
「…私も、愛している。」
まだちょっと、照れくさいですけど。
でも、本当に、大好きですわ。あなたと一緒にいられて、わたくし、幸せだわ。
レオニス。ずっとずっと、一緒にいてね？
〜ＥＮＤ〜
１９９９．１０．２３
片加 凪 作
＜片加 凪さんのあとがき＞
これは、レオニス×ディアーナのＥＤを想像して書きました。
あのレオニスの優しそうな笑顔、素敵ですよね…。
…って、遠い目をしてる場合じゃない。そのわりに書けてないわ、素敵なレオニス（泣）
すみません。
いろんな方が、名前で呼び始めるときをテーマにして書いてらっしゃると思いますが、
この二人のは少ないので（…というより、このカップリングが少ないのか。）
書いてみました。
創作をお書きになってることを知るや否や「読ませてくださいｩ」とずうずうしくもお願いしたにもかかわらず、快く送ってくださった太っ腹なお方です（＾＾）←誉めてます
とってもとってもかわいいお話です〜〜！！o(＞＜ )o o( ＞＜)o
凪さん、らぶらぶなお話をありがとう！
隊長はきっと甲斐性がありそうだから、ディアーナも大丈夫ねっ（笑）
また読ませてくださいね♪（←おいおい）
櫻井 映里（1999.10.30)
|
|