My favarite things
甘い言葉に優しい腕。甘い眼差し、優しい吐息。
どれもこれも、大好きなもの。
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「朝だよ、シルフィス。」
そうっと優しい声がする。
目が覚めると、青い海にいるのかと一瞬思った。
私の頭の下には、優しい腕。
青い海だと思ったのは、広がった青い髪。
…昨夜のことを、思い出す。
「お、おはようございます、殿下。」
きっと、今、私の顔は真っ赤に違いない。
「おはよう。」
横に寝たまま微笑む殿下の顔は、いつもより優しい気がする。
「よく眠れたかい？」
「あ、はい。…で、でも、殿下は腕が痛かったのではありませんか？」
ずっと枕代わりにしていたらしい殿下の腕。きっとしびれてるんじゃないかな。
そう思って聞いたのに、殿下はくすくすと笑った。
「共寝した朝に、そんなこと心配しなくていいんだよ。」
「すみません…。」
「謝る必要もないよ。」
笑顔で言う殿下は、私の髪をそっと撫でると半身を起こした。
「いつまでもこうしていたいけど、そうもいかないな。皇太子には休みの日はないからね。」
あわてて私も起きあがろうとしたら、殿下が覆い被さってきた。
「…殿下？」
そっと啄むようなキスひとつ。
そして、殿下は言う。
「おまじないだよ。君が今日一日無事でいるように。私が今日一日君なしでもしっかりやれるように。」
「私がいなくても、今までちゃんとやってこられたように、これからだって大丈夫でしょう？」
なんだか子供のような殿下が可愛くて、微笑みながら私は聞いた。
「一度味を占めてしまった蜜の味は、知らなかったことには出来ない。君がいないとだめなんだよ。」
そんなこと言われたら、なんて言って良いかわからない。
「私も」とか「やっぱり大好き」とか「ずっと一緒にいたい」とか、言いたいことがたくさんありすぎて、言葉にならない。
「…殿下…」
言葉になるのはけっきょくそれだけ。
「…時間がないのが悔しいな。もう行かないと。」
殿下は言って、私も服を着る。部屋を出るとき、殿下が何気なく言った。
「ではまた、夜にね。」
私の沸騰している心なんか、きっと、殿下は気がついてない。それとも、気がついてわざと言ってるのだろうか。
「…はい。また、夜に。」
** ** **
笑顔に笑い声、髪を撫でる手の温かさ。
一緒にいる時間、次の約束。
ひとつひとつ、全部愛しい。
好きなこと、好きなもの、好きな時間。
私の「好き」は全部あなたにつながってる。
〜ＥＮＤ〜
片加 凪様より
片加凪さんにお年賀リクエスト企画で強請ったセイル×シルのお話です。
無茶言ってアップさせていただきました(^^;)
凪さんのお話は、ふんわり優しい雰囲気でとても好きなんですよ。
セイル×シルで読めてとても幸せでしたわ………。
しかも！ ＥＤ後のお話じゃないですか！！！
にやける顔を押さえられませんでした（核爆）
凪さん、無理言ってごめんなさい＆ありがとう♪
櫻井 映里（2001.7.1)
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